GENESIS(Remix)
始めに神が降り立ったとき、世界には恒星とその周囲を回る惑星と星の材料であり残骸であるガス星雲と大量の見えない重力源であるダークマターとそして幾つかの惑星の上にへばり付いて暮らす生き物達とその中から進化した知的生命体が作りあげて悲喜こもごも生活している都市以外何もなかった。
そのとき神は「光よ、あれ」と仰せられた。すると光ができた。知的生命体は驚いてざわざわと天を見上げながら囁き合った。彼らが今まで見た来たのとは全く違った光だった。神はその光とよしと見られた。そして神は光と闇を区別された。神は、この光を昼と名づけ、この闇を夜と名づけられた。それはこの世界中の様々な自転周期を持つ惑星達の昼と夜のリズムをまったく無視したものだった。知的生命体はこれらの行為の主の無知さと厚顔無恥さに怒りの声を上げ始めた。こうして夕があり、朝があった。第一日。
ついで神は「大空よ。水の間にあれ。水と水との間に区別があるように」と仰せられた。こうして神は、大空を造り、大空の下にある水と、大空の上にある水とを区別された。するとそのようになった。神は、その大空を天と名づけられた。しかし知的生命体はこの宇宙のどこが下でどこが上なのか、その根拠を問おうとした。しかし答えはなかった。ただ真空の宇宙空間で水が急激に蒸発し、表面が凍りついただけだった。こうして夕があり、朝があった。第二日。
神は「天の下の水は一所に集まれ。乾いたところが現れよ」と仰せられた。するとそのようになった。神は乾いたところを地と名づけ、水の集まったところを海と名づけられた。神は見て、それをよしとされた。宇宙の各所では様々な問題が起きていたが、神はそれを見られなかった。天や海の大水の中に沈められた惑星の住人は溺れ死に、惑星系自身が水圧で潰れ、恒星は中性子星やブラックホールとなっていく。神が大量の新たな物質を導入したがゆえに重力バランスが崩れ、銀河は形を保てなくなり、神が物質をあちらこちらに動かすので、エネルギー保存則を保つため幾つもの星が絶対零度近くまで凍りついた。
神が、「地は植物、種を生じる草、種類にしたがって、その中に種のある実を結ぶ果樹を地の上に芽生えさせよ。」と仰せられると、そのようになった。 それで、地は植物、おのおのその種類にしたがって種を生じる草、おのおのその種類にしたがって、その中に種のある実を結ぶ木を生じた。神は見て、それをよしとされた。それらは人為的に持ちこまれた外来種が多くそうであるように、在来種に害悪を成し駆逐していった。知的生命体達の農業は深刻なダメージを受け、飢えて見慣れぬ外来種を食べたため毒に当たって死ぬものが続出した。こうして夕があり、朝があった。第三日。
ついで神は、「光る物は天の大空にあって、昼と夜とを区別せよ。しるしのため、季節のため、日のため、年のために、役立て。天の大空で光る物となり、地上を照らせ。」と仰せられた。するとそのようになった。それで神は二つの大きな光る物を造られた。大きいほうの光る物には昼をつかさどらせ、小さいほうの光る物には夜をつかさどらせた。また星を造られた。神はそれらを天の大空に置き、地上を照らさせ、また昼と夜とをつかさどり、光とやみとを区別するようにされた。神は見て、それをよしとされた。知的生命体達はそのでたらめさに激怒した。これらの行為主には欠片の知性すらないに違いないと。どうやってこれだけの宇宙の様々な地点に同時に朝と夜をもたらす光源を宇宙の中に作れるというのだ。そもそも光の速さというものを知らないのだろうか。しかし、神が何を知っておられるかを知ることはできなかった。こうして夕があり、朝があった。第四日。
ついで神は、「水は生き物の群れが、群がるようになれ。また鳥は地の上、天の大空を飛べ。」と仰せられた。 それで神は、海の巨獣と、その種類にしたがって、水に群がりうごめくすべての生き物と、その種類にしたがって、翼のあるすべての鳥を創造された。神は見て、それをよしとされた。神はまた、それらを祝福して仰せられた。「生めよ。ふえよ。海の水に満ちよ。また鳥は、地にふえよ。」それらが在来種を食いつぶしたこと前に同じである。知的生命たちはもう呆れて物を言うことすら忘れ始めていた。すでに疲れ切って、文句を言うことすら苦痛になりはじめていた。こうして、夕があり、朝があった。第五日。
ついで神は、「地は、その種類にしたがって、生き物、家畜や、はうもの、その種類にしたがって野の獣を生ぜよ。」と仰せられた。するとそのようになった。神は、その種類にしたがって野の獣、その種類にしたがって家畜、その種類にしたがって地のすべてのはうものを造られた。神は見て、それをよしとされた。そして神は、「われわれに似るように、われわれのかたちに、人を造ろう。そして彼らに、海の魚、空の鳥、家畜、地のすべてのもの、地をはうすべてのものを支配させよう。」と仰せられた。神はこのように、人をご自身のかたちに創造された。神のかたちに彼を創造し、男と女とに彼らを創造された。それはそれまで住んでいた知的生命体達とは全く似ていなかった。彼らは出来たばかりの世界をキョロキョロと見回した。知的生命体達はその出来たばかりの知性をほとんど持たない(まだ智恵の実を食べてないので)生き物を見て茫然としていた。その「人」と神が名づけた神の似姿の生き物は知的生命体達を見ても無感動だった。
神はまた、彼らを祝福し、このように神は彼らに仰せられた。「生めよ。ふえよ。地を満たせ。地を従えよ。海の魚、空の鳥、地をはうすべての生き物を支配せよ。」ついで神は仰せられた。「見よ。わたしは、全地の上にあって、種を持つすべての草と、種を持って実を結ぶすべての木をあなたがたに与えた。それがあなたがたの食物となる。また、地のすべての獣、空のすべての鳥、地をはうすべてのもので、いのちの息のあるもののために、食物として、すべての緑の草を与える。」すると、そのようになった。つまり人達はそれまで宇宙に住んでいた知的生命体達を支配し、支配した。全ての在来種を食いあさった。すぐに彼らは滅び去った。そのようにして神はお造りになったすべてのものをご覧になった。見よ。それは非常によかった。こうして夕があり、朝があった。第六日。
こうして、天と地とそのすべての万象が完成された。それで神は、第七日目に、なさっていたわざの完成を告げられた。すなわち、第七日目に、なさっていたすべてのわざを休まれた。神はその第七日目を祝福し、この日を聖であるとされた。それは、その日に、神がなさっていたすべての創造のわざを休まれたからである。
これは天と地が創造されたときの経緯である。