淡中 圏の脳髄(永遠に工事中)

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And now, for something completely different

事の真相

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事の真相

 誰が知ろう。ミノス王が隠そうとしたのは、その醜い義理の息子ではなく、実は出口であったことを。迷宮からの出口、この世という迷宮からの。誰が知ろう、ミノタウロスは、その門番に過ぎなかったことを。不埒にも、この世から脱走を図る不届き者の頭蓋をかち割るための。誰が知ろう、幾人の若者が、命知らずにも迷宮に挑戦したかを、幾人がその脳髄を無限に続くかと思われる廊下と壁とにぶちまけたかを、幾人がどこにもたどり着くことなくのたれ死んだかを、そして幾人が脱出に成功したかを。

 そして誰が知ろう、恋に狂ったアリアドネがテセウスに糸を渡したのは、彼を縛り、彼に逃げられないようにするためだったことを。彼が絶対に、自分を置いて出口なんかにたどり着かないようにするために。

解説

自分の小説を読んでいると、ある種のモチーフが繰り返し出てくることに気付かされるが、「迷宮」もその一つ。ほかには「世界の終わり」がよく出てくる。

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