淡中 圏の脳髄(永遠に工事中)

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Πάντα ῥεῖ

この作品を尊敬する故手塚治虫氏に捧げる

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この作品を尊敬する故手塚治虫氏に捧げる

 「故手塚治虫先生は地球はガラスでできているように脆いと仰いました。実際地球を宇宙から眺めてみると精巧に細工したガラス球のように美しいものです。だがその地球は今危機に瀕しています。地球温暖化、異常気象、オゾンホール、海洋資源の枯渇、森林破壊、砂漠化、大気汚染、人口問題、食糧問題。さまざまな問題が危ういバランスを保っている環境を破壊し、生態系を狂わしているのです。その先にあるのはガイアの死。問題は切迫しています。今すぐに立ち上がらなければ、刻一刻と滅びの時は近づいているのです。我々の子孫たちに美しい地球を残すためにも、これ以上問題を先延ばしするわけには行かないのです。

 では、いったい何をすればいいのか。それは誰にもはっきりとはわかっていません。自然環境に間違った形で干渉すれば、余計に事態を悪化させることにもなりかねない。そこで我々は地球史の徹底的な研究を提唱します。今何をすべきかを知る最もよい手は、歴史を調べることである。今までの地球がどうさまざまな大異変を潜り抜けてきたかを知れば、この事態の打開策も自ずから知れるというわけです。そこで、古代の自然環境を知るために我々はここを手始めに、世界各地でボウリング調査を実行し、土中に含まれたさまざまな成分から、古代の自然環境をシミュレイトしようという、一大プロジェクトが実行されようとしているわけです」

 教授の記念演説が終わった後、ボウリングの最初の一突きが成された。しかし、まさか実は地球はガラス球ではなく風船球だったので、その最初の一突きで破裂して、すべては滅びてしまうとは、漫画の神様手塚治虫でも気がつくまい。

 

 作者による訓話

 「昔の人は仰いました。『触らぬ神に祟りなし』。変に人間が科学精神なんて、めんどっちいもの持ち出して、自分の分を過ぎたまねをするからこういうことになるのであって、本当に人間、分相応ってのが大切なんだ。どうせ神ならぬこの身、一生かかったって知ったり理解したりすることができるのは限られたことばかりなんだから、無駄な努力をするより、昔から決まっていることにしたがって、昔からずっとそうやって来たんだから間違いがあるはずがないんだから、親の言うことをよく聞いて、親と同じように結婚し子供を作って、子供を育てて、年老いた親の面倒見て、そして子供に面倒見られて、何にも難しいことなんか考えずに死んでいくのが人の道ってもんなんだ。それを変に懐疑とか合理とかわかんねえこと言い出すもんだから、偉い人のいうことも聞かないような人間になっちまうんであって、世の中のわけのわかんねえものは、神棚の中にでも閉じ込めちまって、へえへえと拝んでおけば、大概は解決するんだから、そんなわかんねえこと言ってる暇があったら、両手合わせて神棚拝むか、両手に唾して畑でも耕してろい、ばかやろ」

解説

自分で読み返してもひどいな。

初期の唐沢なをきとか、兄の俊一と組んだ唐沢商会とかその辺の作品の影響が強く感じられる。

後半の説教なんて唐沢商会の作品のクトゥルフトリビュートにそのまんまあったぞ。

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